▼494号 「秩父・両神山の刀利天狗」
【前文】
両神山は江戸時代は木曽の御嶽教の行者で賑わった山。行者の唱え
る唱文のなかに御嶽山と同じ天狗の名が出てくる。一位ガタワ方面
にある刀利天坊天狗の像は、木曽御嶽山飛騨頂上にある刀利天像と
姿形がよく似ている。
・埼玉県小鹿野町と埼玉県秩父市との境
▼494号 「秩父・両神山の刀利天狗」
【本文】
両神山は飛鳥時代の役ノ行者開山のといわれ、江戸時代は修験者の
道場としてにぎわいました。この修験者が木曽の御嶽教の行者であ
ることは有名です。
そのため、両神神社本社の前には御嶽神社の祠があり、山頂東方に
木曽御嶽山と同じ前衛の山、三笠山、八海山の地名もあります。
この山は天狗でも名高い山です。山麓には各地に天狗社が散在して
います。とくに出原地区に古くから伝わる木製の天狗像は逸品です。
また行者の唱える唱文のなかに「三笠山刀利天坊、八海山大頭羅坊、
阿留摩耶山アルマヤ坊…」と御嶽山と同じ天狗の名が出てきます。
大頭羅坊は表参道にあるが他のものはどこにあるだろうと探してみ
ました。清滝小屋から少し上がった一位ガタワ方面に入ったところ
で、はからずも見つけた刀利天坊天狗の像。
やはり三笠山と関係ある場所にあり、木曽御嶽山飛騨頂上にある刀
利天像と姿形がよく似ています。
文字は風化して読めませんが、足の指に鳥のような爪があるのが気
になります。とすればこのあたり、まだ他の天狗もあるかも知れま
せん。
▼【データ】
【所在地】
・埼玉県秩父郡小鹿野町両神(旧秩父郡両神村)秩父鉄道三峰口駅
の北西14キロ。西武線秩父駅からバス・小鹿野乗り換え出原から
歩いて3時間で位置がタワ。付近に何もなし。地形図上には何の記
載もなし。一位ガタワより北方向直線約230mに清滝小屋がある。
【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【一位ガタワ】緯度経度:北緯36度01分8.68秒、東経138度51
分0.2秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「両神山(長野)」
【参考】
・『図聚天狗列伝・東日本編』知切光歳(三樹書房)1977年(昭和5
2)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
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