▼514号 「農作業の目安・雪形」
【概略】
山々にあらわれる雪形は、毎年同じところに出るため、村人たちは
名前をつけて農作業をはじめる目安にしました。雪形には白く残雪
が残るものと、雪がとけて黒い形ができるものがあります。有名な
白馬岳は、岩肌の黒い馬の形や富士山の鳥、木曽駒ヶ岳の駒形など
があります。
▼514号 「農作業の目安・雪形」
春がやってくると高い山々の雪もとけはじめ、岩肌があらわれ、そ
れが麓から見るといかにも動物や人の形になって見えます。これが
雪形で、昔の人はこれに名前をつけました。
雪形は、毎年少しずつ形は変わるものの、同じところに出るため、
村人たちの農作業の格好の目安になりました。
昔は暦の文字が読める人が少なく、また当時の暦では正確な季節が
わからなかったという。それというのも旧暦(太陰暦)では、1年が
354日で、いまの暦(太陽暦)にくらべると11日あまり短いことにな
ります。
これでは、1年たつと同じ日付でも季節は11日もずれ、17、8年そ
のまま続けると正月が夏になってしまいます。そのためいろいろと
工夫してあったようですがそれでもやはり不便だったようです。
雪形には残雪で白く形ができるものと、雪がとけて山に黒い形がで
きるものとあります。
有名な北アの白馬岳は、岩肌の黒い馬の形。苗代を作る目安にして
いたので代馬(しろうま)です。
雪形にはこの他、富士山の鳥の雪形、北ア爺ヶ岳などの種まき爺さ
ん、鹿島槍ヶ岳の鶴と獅子。中ア・木曽駒ヶ岳の駒形、宝剣岳近く
の島田娘、南駒ケ岳の五人坊主、南ア・農鳥岳の農鳥と農牛。新潟
県?差岳のエブリ(農具)などがあります。
【参考】
・「あしなか・第百三十三輯」(山村民俗の会)
・「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)1
986年(昭和61)
・「山DAS(改訂)」石井光三(白山書房)1997年(平成9)
・「山の紋章・雪形」田淵行男著(学習研究社)1981年(昭和56)
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