▼688号 「北陸白山・御前峰の大カミナリ」
【概略】
白山山頂はガスで真っ白だった。強い風を除けて神社奥宮石垣のな
かに潜り込む。お湯を出し、暖かいゆでアズキをつくって舌鼓。池
めぐりの最中、轟音の雷鳴が1発。とたんに降り出した大粒の雨。
くわばらくわばら。次の雷におびえながらただ歩き続ける。その雨
は3日間降りっぱなしだった。
・石川県白山市岐阜県白川村との境
▼688号 「北陸白山・御前峰の大カミナリ」
【本文】
石川県と岐阜県にまたがる白山は富士山、立山とならんで「日本
三名山」にも数えられる名山。民謡おわら節のはやし文句にも「♪
越中で立山、加賀では白山、駿河の富士山、三国一だよ」と歌われ
ています。
豪雪地の山のためいつまでも白く雪が残るので名前があるという。
山頂は御前峰(最高峰)と大汝峰、剣ヶ峰の3つの峰に分かれ、
南にある別山、三ノ峰を入れて白山5峰をなしています。
雪で白く輝くこの峰々の美しさは古くから世に知られ、万葉の時
代から「越のしらみね」と詠われました。この山は奈良時代の養
老元(717)年、越ノ大徳と呼ばれる泰澄上人が、弟子の臥行者と
浄定行者を連れて開いた山。
山頂に登った泰澄は白山妙理権現という神を感得し、その眷属配
下といわれる禅師王子、児宮童子、一万眷属、十万金剛童子、五
万八千采女、天狗などをまとめる身になりました。
のち、泰澄上人は御前峰にとどまり白峰大僧正という天狗になっ
て白山全体を守っているという。
その昔、白山と富士山が背比べをしたという話があります。2つの
山に樋を渡して水を流したところ、白山の方に水が流れてきました。
自分の方が低いことが分かった白山はあわてて履いていたわらじを
脱いで、樋の下にあてがいごまかしたというのです。
それからというものこの山に登った人は、履いているわらじを脱い
で山に置いてくるようになったというのです。その理由として、白
山は霊山であり、その土がわらじについて俗界に持ち込まれること
を白山の神が否まれたという説もあるという。
このように富士山とけんかしたとか、背比べしたなどという話はあ
ちこちにあるものですね。
9月、山頂はガスで真っ白でした。強い風を除けて白山比盗_社
奥宮石垣のなか潜り込みます。お湯を出し、暖かいゆでアズキを
つくって舌鼓。
池めぐりの最中、轟音の雷鳴が1発。とたんに降り出した大粒の
雨。くわばらくわばら。次の雷におびえながらただ歩き続けます。
そしてやっと小桜平避難小屋に逃げ込みました。
その雨は3日間降りっぱなしでした。泰澄さま、何か失礼をした
でしょうか。
・石川県白山市と岐阜県白川村
▼御前峰【データ】
【山名・異名・由来】
・御前峰(ごぜんみね)。:この山を開いた泰澄上人が御前峰にとど
まり、白峰大僧正という天狗になって白山全体を守っているという。
【所在地】
・石川県白山市と岐阜県大野郡白川村との境 最短:JR金沢駅か
らバス別当出合下車、歩いて3:20分で御前峰(標高2702.2m)一
等三角点(m)と白山比盗_社奥宮がある。地形図上には山名と三
角点の標高と白山奥宮の文字の記載あり。三角点より北方向直線約
316mに剣ヶ峰がある。三角点より南方向直線約680mに室堂平があ
る。
【ご利益】
・【白山比盗_社奥宮】:大漁・海上安全の神
【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第87番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第45
番選定)
・田中澄江選定(1981年)「花の百名山」(第57
番選定)
・田中澄江選定(1995年)「新・花の百名山」(第57番選定)
【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・【御前峰一等三角点】緯度経度:北緯36度09分18.49秒、東経136
度46分17.12秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「白山(金沢)」。5万分の1地形図「金沢
−白山」
【参考】
・「図聚 天狗列伝・東日本編」知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
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