▼716号
「胡蝶の花・シャガ」
【概略】
シャガの名は漢名の射干(シャカン)を日本読みにしてシャガにし
たという。ところがまずいことに、中国での射干は日本のアヤメ科
のヒオウギ属のヒオウギのことになってしまうというから困りま
す。日本のアヤメ科の中ではただひとつの常緑葉の植物だそうです。
・アヤメ科アヤメ属の常緑多年草
▼716号
「胡蝶の花・シャガ」
【本文】
登山口で靴ひもなど締め直し、身支度を整えて出発します。小さな
流れの木橋を渡りスギ林に道はつづいています。そのわきの枯れ葉
のなかにシャガが群生しいっせいに花をつけて私たちを迎えていま
す。
暗い林の中で白っぽい花が元気づけてくれます。シャガの名はヒオ
ウギからきているという。つまりヒオウギを漢名で射干(シャカン)
といいますが、これを日本読みにしてシャガとしたというのです。
シャガは30〜70センチの花茎を立ち上がらせ、上の方で枝分かれし
て、花をたくさんつけます。花は直径が5センチくらいで白紫。
外側の花びら(外花被片)はよく開き、ふちに切れ込みがあって、
中央にはみかん色の半天のあるのが特徴です。花はよくつけますが
果実はできません。
その花が見た目にチョウが舞う姿に似ているというので胡蝶花とも
書くそうです。アヤメ属では珍しい常緑葉。人里に近いところに多
く生えていることから古い時代に中国から渡来し、野生化したので
はないかという説もあります。
仲間にヒメシャガ(姫胡蝶花)やイチハツ(鳶尾)、ノハナショウ
ブ(野花菖蒲)、カキツバタ(杜若)、アヤメ(菖蒲)、キショウブ
(黄菖蒲)などがあります。
・アヤメ科アヤメ属の常緑多年草
▼【データ】
・【参考】
「植物と伝説」松田修(明文堂)1935年(昭和10)
「世界の植物・」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
「植物の世界・」(朝日新聞社)1996年(平成8)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
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